专利摘要:
本発明は、真核細胞中の組み換え遺伝子産物の製造の分野に属する。本発明は、組み換え遺伝子産物の大規模製造に適した製造細胞株の迅速かつ再現性のある作成のための方法及び材料を参照する。本発明は、特定のベクター系、遺伝子組み換えした宿主細胞及び使用方法を包含する。
公开号:JP2011515094A
申请号:JP2011501156
申请日:2009-03-27
公开日:2011-05-19
发明作者:ヘルマン アンドレアス;アプツ ハリー;グロイリヒ ベネディクト
申请人:セロニック アクチエンゲゼルシャフトCelonic AG;
IPC主号:C12N15-09
专利说明:

[0001] 発明の詳細な説明
1.技術分野
本発明は、真核細胞中の組み換え遺伝子産物の製造の分野に属する。特に、本発明は、組み換え遺伝子産物の大規模製造に適した高収率真核性製造細胞株の迅速かつ再現性のある作成のための方法及び材料を参照する。本発明は、特定のベクター系を含み、これは遺伝子組み換えした宿主細胞により特徴付けられ、かつ、使用方法を包含する。]
[0002] 2.背景技術
CHO細胞株は、バイオ医薬品の製造のために最も広く使用される宿主細胞の1つである。典型的には、宿主細胞は組み換え遺伝子産物、例えばタンパク質をコードする興味のある遺伝子(GOI)、及び、選択マーカー、例えば抗生物質性の、例えばネオマイシン又はメトトレキサート耐性の遺伝子を含有する発現コンストラクトでトランスフェクションされる。少ない割合の宿主細胞においては、発現コンストラクトは非相同性組み換えによりゲノム中にランダムに導入される。これら安定にトランスフェクションされた細胞は抗生物質化合物の選択圧下で選択される。規則遵守して作成された(regulatory compliant)単一細胞由来の細胞株を獲得するために、限定された希釈(limited dilution)によるサブクローニング工程が引き続き実施される。数百の単一細胞由来のクローンが分析されるにもかかわらず、この発現レベルはしばしば未だ弱く、これによりトランスフェクション手順の最適化又は当初に組み込まれたコピーの発現コンストラクトの増幅が必要となり、これは例えばメトトレキサートの濃度又は他の増幅系を増加させることにより行われる。この全手順は少なくとも6ヶ月かかり、時には1年間もかかる。]
[0003] このアプローチに関する主要な問題は、組み込み事象のランダムな性質である。取り囲むゲノムDNAは、組み込まれた発現コンストラクトの翻訳活性に主要な作用を有する(「ポジション作用(position effect)」)。この非相同性組み込みプロセスの確率的性質のために、この組み込みは高い転写活性でもって座に指向されることができない(転写ホットスポット)。主たる哺乳類DNAは非コード性であり、かつ、このコード領域でさえ少ない程度でだけ転写活性であるために、大抵の組み込み事象は導入遺伝子の低い発現を生じるものである。要約すると、発現コンストラクトのランダム組なみ込みは導入遺伝子の発現レベルに広い変動を生じるものであり、細胞の一画分のみが高レベルの発現を示す。]
[0004] 必要な実験室的スクリーニングプロセスを回避し、かつ高生産者細胞株を作成するための時間を減少させるために、宿主細胞のゲノムの発現のホットスポットへの標的化した任意のGOIの挿入のための系が所望されるものである。]
[0005] GOIをこの部位に繰り返して導入するために、この同定された部位は、配列特異的なリコンビナーゼ、例えばCre又はFLPの挿入を可能にする配列で補われていてよい。このような改変のためのFlpの使用はWO92/15694中に記載され、US2001/0032341にはマーカー不含の繰り返しDNA発現カセット交換のための改変を有する。植物細胞中でのゲノムの改変のためのCreの使用はWO91/09957中に記載され、US2006/0014264A1中には更なる改変を有する。]
[0006] 両方のリコンビナーゼは特定の認識部位に依存的であり、これはまず適当なゲノム性局在化でゲノム中に導入される必要がある。トランスジェニック動物の場合には、これは相同性組み換えにより達成される。]
[0007] これら特異的なリコンビナーゼを生産細胞株の作成のために使用するために、主要な問題は、相同性組み換えにより認識部位の挿入のための適した遺伝子を同定することである。この遺伝子は高度に転写されることが必要であるが、同時に、細胞にとって必須であってはならない。ミエローマ細胞又はハイブリドーマ細胞中のイミノグロブリン座は、このような適した座の例であろう。相同性組み換え及びCreを使用する配列特異的組み換えの組み合わせの使用による抗体の作成はWO96/30498中に記載されている。類似のアプローチは、EP11405908A1中に高収率一般発現系として記載されている。]
[0008] 利用可能であるにもかかわらず、これらアプローチは、各宿主細胞中の既知の、必須でない、高度に発現した細胞遺伝子に限定される。さらに、自然相同性組み換えは希有な事象であり、その効率は各部位に依存する。高効率を達成するには大きい相同性配列を使用すべきであり、ここではアイソジェニック配列が最も有効である。したがって、限定された配列情報が入手できる宿主(例えばハムスター)中でのこのアプローチの使用は、その利用性を限定するであろう。]
[0009] 高発現レベルを可能にするゲノム座をランダムに同定するために、レポーター遺伝子及び使用されるリコンビナーゼのために必要とされる認識部位を含有するベクターをこの標的部位で導入することが記載されている(WO2004/029284A3)。レポーター遺伝子がランダムにタグ化された組み込み部位の発現能力の特性決定を可能にする一方で、この認識部位はGOIに対するレポーターの交換を可能にする。]
[0010] Puttini et al.(J.Biotechnol.116(2005),145−151)は、細胞株中での標的化した、二重鎖切断媒介した遺伝子組み換えのための方法を開示する。これにより、標的遺伝子を発現する宿主細胞が得られる。このターゲッティングベクターは、単一メガヌクレアーゼ認識部位を含有する。2.5×10-6(10クローン/2×107細胞、20%のトランスフェクション効率を有する)という低いターゲッティング効率が報告されている。このようにして、この文献は、高生産性宿主細胞を獲得するための信頼性のある方法を提供しない。]
[0011] WO2004/029284は、FLPリコンビナーゼにより触媒作用された部位特異的組み換えを使用する生産者宿主細胞の作成のための方法を記載する。この生じる発現細胞株は、FLPリコンビナーゼ認識部位を未だ含有し、時にこれは興味のある遺伝子の導入後のコード配列内である。これは、生産者細胞株の減少した安定性を生じる。この文献はまた、代替的な組み換え認識部位としてグループIIイントロンも示唆するが、このための実験的証拠を開示しない。メガヌクレアーゼ認識部位グループIイントロンコードするホーミングエンドヌクレアーゼは開示されない。]
[0012] Sorrel&KoIb(Biotech.ADV 23(2005),431−469)は、メガヌクレアーゼI−Sce−lのための単一認識部位を有するターゲッティングベクターを使用する相同性組み換えによる哺乳類ゲノムの部位特異的改変を説明する。ターゲット/置換ベクターの組み込みは標的化した相同性組み換えを介して行われ、ランダム組み換えを介しては行われない。]
[0013] Belfort & Roberts(Nucleic AcidsRes.25(1997),3379−3388)は、グループI及びグループIIイントロンコード分子を含むホーミングエンドヌクレアーゼを説明する。]
[0014] これら全てのアプローチを用いると交換反応の効率は使用されるリコンビナーゼの効率に依存する。さらに、このランダムに選択された座は良好な転写活性を有する可能性があるが、これは使用されるリコンビナーゼによる効率的な組み換えを支持しない可能性がある。適した組み込み座を同定するためにこのアプローチは更なるスクリーニング労力を必要とする。この種のリコンビナーゼの使用における更なる可能性のある障害は、所望される宿主細胞のゲノム内の偽認識部位(pseudo-recoginition sites)の存在である。この偽認識部位は、必要とされない組み換え事象を生じる可能性がある。これは、この系の効率を減少させ、かつ、必要とされないフェノタイプを有する遺伝子改変された可能性のある細胞を生じるものである。やはり、最も適した細胞を同定するためのスクリーニングを実施する必要がある。このアプローチが機能的と考えられるにもかかわらず、高効率生産細胞の作成におけるその効率及び普遍的な利用性は低いものである。]
[0015] まとめると、組み換えタンパク質の大規模生産のために証明された能力を有する高効率真核生産細胞株の作成のための、迅速で、効率的で、かつ普遍的な系に対する必要性が未だ存在する。]
[0016] 本発明は、この要求を満たすための方法及び材料を開示する。]
[0017] 3.発明の要約
本発明は、前もって形成されかつ特徴付けられた宿主細胞株(ワイルドカード(wild card)細胞)中にGOIを含む発現カセットを部位特異的に導入することを伴う、バイオ医薬品の製造のための高効率真核細胞株の作成のためのワイルドカード戦略に関する方法及び材料を記載する。ワイルドカード細胞は、動的培養系における大規模生産のために必要な特性について選択されている。これは、出発細胞株のゲノム中へのタグ化されたレポーターカセットのランダムな導入及び組み込み部位の発現能力の特性決定(characterise)により作成される。興味のある遺伝子(GOI)に対してレポーターを交換することにより、所望される遺伝子産物を効率的に発現することができる生産者細胞株が得られる。]
[0018] GOIのための供給源として交換ベクターが使用され、これは自体ではGOIの強力な発現を可能にせず、かつ有利にはトランスフェクションされた細胞への選択可能な特性を付与しない。]
[0019] 記載された系とは異なり、このワイルドカード戦略は、発現カセットの媒介された交換のためにリコンビナーゼを使用しない。第1のリポーター遺伝子及び選択マーカーの交換は二重鎖切断(DSB)により誘発される相同性組み換えにより媒介される。DSBを所望されるゲノム性部位で誘発するために、この標的化された座は特定のタグとして、希有DSB媒介酵素のための1又は2の認識部位を含有し、これは例えば希有切断メガヌクレアーゼ又はホーミングエンドヌクレアーゼ(HE)、例えばI−Scelである。HEは細胞中に導入され、定義された部位で認識部位の制限を付与する。DSB切断の修復は細胞の内因性修復機構により高頻度に実施される。このパラレルにトランスフェクションされた交換ベクターは、交換されたカセットの隣接領域に対して相同性の配列のために修復マトリックスとして機能する。]
[0020] この種の新規宿主細胞は、組み換え遺伝子産物、特に組み換えタンパク質のための再現性のある、高効率生産細胞株を獲得するために、短期間で予め決定されたゲノム性発現ホットスポット中へのGOIのクローニングを容易にする。]
[0021] この方法は以下の工程を含む:
・選択可能マーカー、定量化可能なレポーター遺伝子及び媒介するDSB誘発された相同性組み換えのための認識部位を含有するターゲットベクターのランダムな組み込み、
・レポーター遺伝子により判断される通りの、転写活性のある座でのターゲットベクターの単一の組み込まれたコピーを優先的に有する普遍的な宿主細胞株(「ワイルドカード」細胞)の選択、
・レポーター遺伝子及び興味のある遺伝子(GOI)に対する第1の選択可能なマーカーの交換及び引き続き、修復マトリックスとして必要とされるエレメントを有する交換ベクターを伴うDSB誘発された相同性組み換えによる少なくとも1つの更なる選択可能なマーカーの作成。]
[0022] この普遍的なワイルドカード宿主細胞中での交換プロセスは他のGOIsについて実施することもでき、かつ、毎回、予期可能な、高い発現レベル、生産物(例えばグルコシル化)の品質及び遺伝子産物、例えばタンパク質の大規模生産を可能にする成長特性を有する生産細胞を提供する。]
[0023] この方法は優先的には、任意の組み換えタンパク質の製造を可能にする。この生産されたタンパク質は、酵素、特にプロテアーゼ、プロテアーゼインヒビター、ホルモン、サイトカイン、膜貫通性の又は細胞内のドメインあり及び無しのレセプター(特に膜結合型又は溶解性)、完全長抗体又は抗体ドメインであることができる。特にこの生産されたタンパク質は、前述のタンパク質の部分又はドメインを組み合わせる融合タンパク質に似ていることができる。]
[0024] したがって、本系は、バイオ医薬品の効率的かつ経済的製造のために必要な高生産者細胞の作成を可能にする。]
[0025] これは以下の更なる利点を提供する:
・時間の節約:安定な生産細胞株が、前もって作成したワイルドカード細胞株で開始して数週間内に得られることができる、
・前もって同定した発現ホットスポット中への組み込みにより、この生産細胞株の発現レベルはより信頼性をもって予期可能であり、かつ、異なるGOIsについて再現可能に達成できる。
・高効率、というのはGOIを発現する細胞だけが交換後に得られるからである、
・部位特異的組み込みの間の可欠ベクター配列の付加的な組み込みなし、
・数ヶ月の間にコンセプト実験の証明のための材料の製造ができる。後の発達相での生産物品質に変化はないものであり、というのは同種かつ遺伝子的に同一の細胞集団が極めて初期から入手できるものであるからである。]
[0026] このようにして、本発明の第1の観点は、以下工程を含む組み換え遺伝子産物、特にポリペプチドの生産のための生産者細胞の作成のための方法である:
(a)以下のものを含むターゲットベクターを提供する工程
(i)第1の発現コントロール配列(P1)に作動可能に連結されたレポーター遺伝子(RG1)、
(ii)第2の発現コントロール配列(P2)に作動可能に連結された第1の選択マーカー遺伝子(SM1)、
(iii)発現コントロール配列に対する作動可能な連結なしの第2の非機能性選択マーカー遺伝子(SM2)、
その際、配列(i)は5′位に存在し、配列(ii)は(i)と(iii)との間に存在し、配列(iii)は3′位に存在する、
(iv)二重鎖切断媒介酵素のための第1の及び第2の認識部位、その際第1の認識部位は第1の発現コントロ−ル配列(P1)と第1のレポーター遺伝子(RG1)との間に存在し、第2の認識部位は配列(ii)と配列(iii)との間に存在する、
(b)ターゲットベクターを宿主細胞中に、宿主細胞のゲノム中へのターゲットベクターのランダムな組み込みを可能にする条件下で導入する工程、
(c)安定に組み込まれたターゲットベクターを有し、かつ、転写活性、有利にはRG1の高くかつ安定な転写活性を示す宿主細胞を選択する工程、
(d)以下のものを含有する交換ベクターを提供する工程、
(i)興味のある遺伝子(GOI)及び
(ii)第3の発現コントロ−ル配列(P3)に作動可能に連結された不活性な第2の選択マーカー遺伝子(ΔSM2)、
その際、交換ベクターは、第1の5′−相同性配列と第2の3′−相同性配列とを含有し、これはターゲットベクターの配列との組み換えを可能にする、
(e)第1の及び/又は第2の認識部位での、有利には(a)(iv)で定義された第1の及び第2の認識部位での二重鎖切断及び二重鎖切断媒介相同性組み換えによる宿主細胞のゲノム中への交換ベクターの組み込みを可能にする条件下で、工程(c)で得られた宿主細胞中に交換ベクターを導入する工程、
これにより、この不活性な第2の選択マーカー遺伝子(ΔSM2)は交換ベクターの組み込みにより活性化される、
(f)組み込まれたターゲットベクターとの相同性組み換えによる組み込まれた交換ベクターを有する生産者細胞を選択する工程、その際、生産者細胞はGOIを発現する。]
[0027] 本発明の更なる観点は、組み換え遺伝子産物の大規模生産のために適した高収率生産細胞株の迅速な製造を可能にする普遍的宿主細胞(ワイルドカード細胞)を作成するための方法である。この方法は以下を含む:
(a)以下のものを含むターゲットベクターを提供する工程
(i)第1の発現コントロール配列(P1)に作動可能に連結されたレポーター遺伝子(RG1)、
(ii)第2の発現コントロール配列(P2)に作動可能に連結された第1の選択マーカー遺伝子(SM1)、
(iii)発現コントロール配列に対する作動可能な連結なしの第2の非機能性選択マーカー遺伝子(SM2)、
その際、配列(i)は5′位に存在し、配列(ii)は(i)と(iii)との間に存在し、配列(iii)は3′位に存在する、
(iv)二重鎖切断媒介酵素、特にメガヌクレアーゼのための第1の及び第2の認識部位、その際第1の認識部位は第1の発現コントロ−ル配列(P1)と第1のレポーター遺伝子(RG1)との間に存在し、第2の認識部位は配列(ii)と配列(iii)との間に存在する、
(b)ターゲットベクターを宿主細胞中に、宿主細胞のゲノム中へのターゲットベクターのランダムな組み込みを可能にする条件下で導入する工程、及び
(c)安定に組み込まれたターゲットベクターを有し、かつ、RG1の転写活性を示す宿主細胞を選択する工程。]
[0028] 本発明の更なる観点は、組み換え遺伝子産物の製造方法であり、以下の工程を含む:
(a)以下のものを含む発現カセットをそのゲノム中に組み込んで有するワイルドカード宿主細胞を提供する工程
(i)第1の発現コントロール配列(P1)に作動可能に連結されたレポーター遺伝子(RG1)、
(ii)第2の発現コントロール配列(P2)に作動可能に連結された第1の選択マーカー遺伝子(SM1)、
(iii)発現コントロール配列に対する作動可能な連結なしの第2の非機能性選択マーカー遺伝子(SM2)、
その際、配列(i)は5′位に存在し、配列(ii)は(i)と(iii)との間に存在し、配列(iii)は3′位に存在する、
(iv)二重鎖切断媒介酵素のための第1の及び第2の認識部位、その際第1の認識部位は第1の発現コントロ−ル配列(P1)と第1のレポーター遺伝子(RG1)との間に存在し、第2の認識部位は配列(ii)と配列(iii)との間に存在する、
その際発現カセットは宿主細胞ゲノム中に安定に組み込まれており、かつ、レポーター遺伝子(RG1)の転写活性を示す、
(b)以下のものを含有する交換ベクターを提供する工程、
興味のある遺伝子(GOI)及び
第3の発現コントロ−ル配列(P3)に作動可能に連結された(operatively linked)不活性な第2の選択マーカー遺伝子(ΔSM2)、
その際、交換ベクターは、第1の5′−相同性配列と第2の3′−相同性配列とを含有し、これはターゲットベクターの配列との組み換えを可能にする、
(c)第1の及び/又は第2の認識部位での、有利には(a)(iv)で定義された第1の及び第2の認識部位での二重鎖切断及び二重鎖切断媒介相同性組み換えによる宿主細胞のゲノム中への交換ベクターの組み込みを可能にする条件下で、工程(c)で得られた宿主細胞中に交換ベクターを導入する工程、
これにより、この不活性な第2の選択マーカー遺伝子(ΔSM2)は交換ベクターの組み込みにより活性化される、
(d)組み込まれたターゲットベクターとの相同性組み換えによる組み込まれた交換ベクターを有する生産者を選択する工程、その際、生産者細胞はGOIを発現する。]
[0029] 本発明の更なる観点は、組み換え遺伝子産物の生産のための生産者宿主細胞の作成のための方法であって、以下工程を含む:
(a)転写活性を支持する宿主細胞のゲノムの部位中に標的化した相同性組み換えにより二重鎖切断媒介酵素のための第1の及び第2の認識部位を含有する核酸配列を導入する工程、
(b)安定に組み込まれた第1の及び第2の認識部位を有するワイルドカード宿主細胞を選択する工程、
(c)以下のものを含有する交換ベクターを提供する工程、
(i)興味のある遺伝子(GOI)及び
(ii)第1の5′−相同性配列及び第2の3′−相同性配列、これにより第1の及び/又は第2の組み込み部位の組み込み部位での配列との組み換えが可能になる、
(d)(a)で定義された第1の及び/又は第2の認識部位での二重鎖切断及び二重鎖切断媒介相同性組み換えによる宿主細胞のゲノム中への交換ベクターの組み込みを可能にする条件下で、工程(b)で得られた宿主細胞中に交換ベクターを導入する工程、及び
(e)相同性組み換えによる組み込まれた交換ベクターを有する生産者を選択する工程、その際、生産者細胞はGOIを発現する。]
[0030] 本発明の更なる観点は、興味のある遺伝子(GOI)の導入のためのワイルドカード宿主細胞の製造のための方法であって、以下工程を含む:
(a)転写活性を支持する宿主細胞のゲノムの部位中に標的化した相同性組み換えにより二重鎖切断媒介酵素のための第1の及び第2の認識部位を含有する核酸配列を導入する工程、
(b)安定に組み込まれた第1の及び第2の認識部位を有するワイルドカード宿主細胞を選択する工程。]
[0031] 本発明の更なる観点は、組み換え遺伝子産物の製造方法である:
(a)二重鎖切断媒介酵素のための第1の及び第2の認識部位を含有する核酸配列をそのゲノム中に組み込んで有するワイルドカード宿主細胞を提供する工程、
その際核酸配列は転写活性を支持する部位で宿主細胞ゲノム中に安定に組み込まれている、
(b)以下のものを含有する交換ベクターを提供する工程、
(i)興味のある遺伝子(GOI)及び
(ii)第1の5′−相同性配列及び第2の3′−相同性配列、これにより第1の及び/又は第2の組み込み部位の組み込み部位での配列との組み換えが可能になる、
(c)(a)で定義された第1の及び/又は第2の認識部位での二重鎖切断及び二重鎖切断媒介相同性組み換えによる宿主細胞のゲノム中への交換ベクターの組み込みを可能にする条件下で、工程(a)で提供された宿主細胞中に交換ベクターを導入する工程、
(d)相同性組み換えによる組み込まれた交換ベクターを有する生産者を選択する工程、その際、生産者細胞はGOIを発現する。]
[0032] 本発明の更なる観点は、以下の物を含むターゲットベクターである:
(a)第1の発現コントロール配列(P1)に作動可能に連結されたレポーター遺伝子(RG1)、
(b)第2の発現コントロール配列(P2)に作動可能に連結された第1の選択マーカー遺伝子(SM1)、
(c)発現コントロール配列に対する作動可能な連結なしの非機能性の第2の選択マーカー遺伝子(SM2)、
その際、配列(i)は5′位に存在し、配列(ii)は(i)と(iii)との間に存在し、配列(iii)は3′位に存在し、
二重鎖切断媒介酵素、特にメガヌクレアーゼのための第1の及び第2の認識部位、その際第1の認識部位は第1の発現コントロ−ル配列(P1)と第1のレポーター遺伝子(RG1)との間に存在し、第2の認識部位は配列(ii)と配列(iii)との間に存在する。]
[0033] 本発明の更なる観点は、以下のものを含む交換ベクターである:
(i)興味のある遺伝子(GOI)及び
(ii)第3の発現コントロ−ル配列(P3)に作動可能に連結された不活性な第2の選択マーカー遺伝子(ΔSM2)、
その際、交換ベクターは、第1の5′−相同性配列と第2の3′−相同性配列とを含有し、これは宿主細胞のゲノム中での予め決定された部位との、例えばターゲットベクターの配列との組み換えを可能にする。]
[0034] 本発明の更なる観点は、上述の方法により得られる興味のある遺伝子の導入及び効率的発現のための普遍的ワイルドカード宿主細胞及び記載される方法を使用するこの種のワイルドカード宿主細胞を使用することにより生産される組み換え遺伝子産物の大規模製造のための高効率生産細胞を参照する。]
[0035] 4.発明の詳細な説明
4.1宿主細胞
本発明は生産者又はワイルドカード宿主細胞の作成を言及する。有利には宿主細胞は真核細胞、例えば酵母細胞、真菌細胞又は脊椎動物細胞、例えば昆虫又は哺乳類細胞である。より有利には、宿主細胞は哺乳類細胞、例えば齧歯類細胞、例えばマウス、ラット又はハムスター細胞又は霊長類細胞、例えばヒト細胞である。特に有利な一実施態様において、宿主細胞はチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞である。更に有利な細胞は、NSO細胞、ハイブリドーマ、例えばマウス又はマウス/ヒト細胞、HEK293細胞又はPerC6細胞である。特別な一実施態様において、宿主細胞は、血清不含条件下で懸濁培地中で高細胞密度で成長可能である。]
[0036] 4.2ベクター系
本発明は、ワイルドカード宿主細胞を獲得するための様々なベクター、すなわち、宿主細胞中にレポーター遺伝子カセットを導入するためのターゲットベクター、及び、生産者細胞を作成するためのワイルドカード宿主細胞中に興味のある遺伝子(GOI)を導入するための交換又は組み換えベクターの使用に関する。場合により、宿主細胞中での二重鎖切断媒介酵素の発現のための第3のベクターが使用される。]
[0037] このベクターは、各宿主細胞と相容性であるように選択される。このようにして、ベクターは真核細胞に特に適する。有利にはベクターは、非ウィルス性ベクター、例えば環状又は線状プラスミドベクターである。]
[0038] 4.2.1ターゲットベクター
4.2.1.1ランダム組み込みのためのターゲットベクター
本発明のターゲットベクターは有利にはレポーター遺伝子(RG1)及び第1の選択マーカー遺伝子(SM1)を含有する。両方の遺伝子は有利には、バイシストロン性発現カセットを形成し、その際RG1は第1の発現コントロール配列(P1)に作動可能に連結されており、かつ、SM1遺伝子は第2の発現コントロール配列(P2)に作動可能に連結されている。RG1は有利にはSM1遺伝子に対する5′に位置する。さらに、ターゲットベクターは非機能性の第2の選択マーカー遺伝子(SM2)を含有する。さらに、ターゲットベクターは有利には原核性配列エレメントを実質的に含まない。]
[0039] RG1は任意のレポーター遺伝子であってよく、これは検出可能な遺伝子産物、例えば酵素又はルミネッセンスの遺伝子産物を発現する。有利には、レポーター遺伝子は、モニタリング及び定量化できる発現をする遺伝子である。レポーター遺伝子の典型例は、アルカリホスファターゼ、例えば分泌されたアルカリホスファターゼ(SEAP)、ルシフェラーゼ、β−ガラクトシダーゼ又は蛍光タンパク質、例えばGFP又はその変形である。]
[0040] RG1は、第1の発現コントロール配列(P1)に作動可能に連結されており、これは有利には宿主細胞中でのレポーター遺伝子の発現を駆動できる構成性プロモーターを含有する。一実施態様において、P1は強力な構成性プロモーターを含有してよく、これは例えばCMVプロモーター(例えば、ヒト又はネズミCMVウィルス由来のエンハンサーを有する前/初期(immediate/early)プロモーター)であり、これは付加的に、例えばCMVイントロンAで補うことによりエンハンスされていてよく、これにより転写活性及びmRNA安定性が増加する。一般的には、真核細胞中で高くかつ構成的な発現を可能にする任意のコントロール配列が使用できる。これら配列は、天然に生じるか又は天然に生じるエレメントの組み合わせであることができる。さらに、合成プロモーターエレメントも使用してよい。さらに、適した第1の発現コントロール配列(P1)の例は、ヒトの伸長因子1アルファ(EF−1アルファ)プロモーター(相応する第1のイントロンあり及びなし)、ラウス肉腫ウィルス(RSV)LTRに由来するプロモーター、又はHIV2LTR又はこれらに由来する配列の組み合わせである。]
[0041] 異なる一実施態様において、P1は減弱化されたプロモーターを含有でき、この強さは、野生型プロモーター、例えば改変されたCMVプロモーターに対して減少されている。プロモーター強度は減少されてよく、例えばイントロンA配列の発現促進作用を変更することにより減少されてよい。これは、イントロンの3′−領域中に短鎖の非相同性ヌクレオチド配列(例えば100bpまで)の組み込みにより行うことができる。この挿入は、交換ベクターとの相同性組み換え後に負に作用しない。交換ベクター中の適した配列の選択により、この減弱化された型のプロモーターは、交換ベクターが宿主細胞ゲノム中に挿入される場合に、完全に活性のある型により交換されてよい。]
[0042] この第1の選択マーカー遺伝子(SM1)は、宿主細胞中で選択可能なフェノタイプを提供することができる任意の選択マーカー遺伝子であってよい。例えば、SM1は、抗生物質性耐性遺伝子、例えばネオマイシン又はヒグロマイシン耐性遺伝子であってよい。更に、選択可能なマーカー、例えば、ブラスチシジン、ピューロマイシン、ウワバインに対する耐性を付与する遺伝子又はグルタミン合成酵素遺伝子が使用できる。]
[0043] M1は、第2の発現コントロール配列(P2)との作動可能な連結にあり、これは有利には構成性プロモーター、例えばSV−40プロモーターを含有する。特定の一実施態様において、P2は減弱化されたプロモーター、すなわち、野生型プロモーターの減弱化された型であるプロモーターを含有してよい。代替的に又は付加的に、SM1は、野生型選択マーカー遺伝子に比較して減少した活性を有する減弱化選択マーカー遺伝子であってよい。減弱化したプロモーター及び/又は選択マーカー遺伝子の使用により、高転写活性を有する、組み込み部位で組み込まれたターゲットベクターを有する宿主細胞の選択は容易になってよい。]
[0044] 代替的な一実施態様において、SM1の発現は、RG1コード領域の3′末端とSM1コード領域の5′末端との間に配置されたIRESエレメントの使用により達成される。]
[0045] さらに、ターゲットベクターは典型的にはRG1及びSM1のためのコード領域の3′末端でポリアデニル化シグナルを含有し、これは例えばウシ成長ホルモンのポリアデニル化シグナル又はSV−40ポリアデニル化シグナルである。]
[0046] このターゲットベクターは更に、発現コントロール配列に対する作動性連結なしの第2の非機能的選択マーカー遺伝子(SM2)を含有する。SM2は外側に、有利にはRG1及びSM1のためのバイシストロン性発現カセットの3′側に配置される。特定の一実施態様において、SM2のためのコード領域はATG開始コドン無し及び/又は上流の停止コドンであり、有利には全ての3つのリーディングフレーム中に上流の停止コドンを有する。]
[0047] SM2は、宿主細胞中の選択可能なフェノタイプを提供することができる任意の選択マーカーであってよい。有利には、SM2はSM1とは異なる。例えば、SM2は、抗生物質耐性遺伝子、例えばネオマイシン又はヒグロマイシン耐性遺伝子であってよい。更なる例としては、ブラスチシジン、ピューロマイシン、ウワバインに対する耐性を付与する遺伝子又はグルタミン合成酵素遺伝子である。]
[0048] 特異的な二重鎖切断をターゲットベクター内で誘導するためには、これは二重鎖切断媒介酵素、特にメガヌクレアーゼのための第1の及び第2の認識部位を含有する。この第1の認識部位は、P1とRG1のコード配列との間に存在し、この第2の認識部位はSM1のためのコード配列と非機能性配列SM2との間に存在する。2つの認識部位により隣接されるこの部分のターゲットベクターは、交換領域と呼称されてよい。]
[0049] 特定の一実施態様において、第2の認識部位はSM1の停止コドンと引き続くポリアデニル化シグナルとの間に位置してよい(ターゲットベクターA)。更なる一実施態様において、第2の認識部位はSM1ポリアデニル化シグナルとSM2のコード領域の開始部との間に位置してよい(ターゲットベクターB)。]
[0050] この2つの認識部位は、同じ配向又は相互に反対の配向を有してよい。有利な一実施態様において、野生型の下流エクソンに相当する認識部位の部分は、切除後の交換領域の外側に位置する。]
[0051] 二重鎖切断媒介酵素は、有利にはメガヌクレアーゼ又はホーミングヌクレアーゼであり、これは宿主細胞ゲノム中で希有に生じる認識部位を有し、例えばグループIイントロンをコードするホーミングエンドヌクレアーゼ(a group I intron encoded homing nuclease)である。有利には、メガヌクレアーゼ又はホーミングヌクレアーゼは、宿主細胞ゲノム内では天然に生じない認識部位を有する。認識部位は典型的には少なくとも10個、有利には少なくとも12個のヌクレオチド長さを有する。より有利には、ヌクレアーゼは18ヌクレオチドの認識部位を有し、このためエンドヌクレアーゼのドデカペプチドファミリーに属する。この種の酵素の例はUS2005/0032223中に説明され、この内容は参照することにより本願に組み込まれる。有利にはメガヌクレアーゼは、I−Scel、I−Scell、I−Scelll、I−ScelV、I−Ceul、I−Crel、I−Ppol、I−Tevl、I−Tevll、I−Tevlll、Ho及びEndoScelから選択される。より有利には、このメガヌクレアーゼはI−Scelである。]
[0052] 本発明のターゲットベクターの2個の実施態様は図1(ターゲットベクターA)及び2(ターゲットベクターB)中に示されている。このレポーター遺伝子はイントロンAを含むエンハンスされたCMVプロモーター(eCMV)に作動可能に連結されている。この最初の選択マーカー遺伝子(SM1)は、SV40プロモーター(Psv40)に作動可能に連結されている。この第2の選択マーカー遺伝子(SM2)はプロモーターに作動可能に連結されておらず、このため非機能性である。] 図1
[0053] 4.2.1.2非ランダム組み込みのためのターゲットベクター
本発明の異なる一実施態様において、ターゲットベクターは付加的に第1の5′−及び第2の3′−相同性配列を含んでよく、これは上述の通りのターゲットベクターの遺伝子エレメントに隣接し、かつ、宿主細胞の予め定められた遺伝子座で、すなわち、転写活性を支持することが知られている遺伝子座、例えば免疫グロブリン座で、非ランダムな相同性組み換えを可能にする。この実施態様において、レポーター遺伝子は上述の通り発現コントロール配列に作動可能に連結されているか、又は代替的に、発現コントロール配列を欠失していてよく、これは、この隣接する相同性配列が、内因性発現コントロール配列との作動性連結においてレポーター遺伝子(RG1)を配置する位置での相同性組み換えを可能にすべく選択される場合である。]
[0054] 代替的に、この実施態様のためにはレポーター遺伝子を欠失するターゲットベクターを使用してよい。]
[0055] 4.2.2交換ベクター
交換ベクターは有利には、興味のある遺伝子(GOI)、及び、不活性の、例えば不完全な、第2の選択マーカー遺伝子のためのコード配列(ΔSM2)を含有する。興味のある遺伝子は、所望の遺伝子産物、特に組み換えタンパク質をコードする任意の遺伝子であってよく、しかしまた、組み換え核酸、例えば所望されるRNA分子であってもよい。有利には、GOIは機能性発現コントロール配列なしで存在する。より有利には、このGOIはその5′−末端に部分的な発現コントロール配列を含有し、これはターゲットベクター中で第1の発現コントロール配列(P1)の第3′−プライム部と同一又は実質的に同一である。さらに、GOIのための適したポリアデニル化シグナルが、ターゲットベクターのために説明された通りコード配列の3′末端に位置していることが有利である。]
[0056] SM2のための不活性なコード配列は、機能性選択マーカーの作成を可能にしない。この目的のために、典型的には、SM2のコード配列の3′部分は、交換ベクター中で欠失していてよい。しかしながら、SM2のための不活性なコード配列は、機能性発現コントロール配列、例えば、構成性プロモーター、例えばSV40プロモーターに対する作動性連結にある。]
[0057] 更なる一実施態様において、交換ベクターは付加的に第3の選択マーカー遺伝子(SM3)を含有し、これはGOIと同時転写される。この目的のために、IRESエレメントに作動可能に連結されたSM3のためのコード配列は、GOIのためのコード配列の3′末端とポリアデニル化部位との間に配置されてよい。代替的に、GOIとSM3の順序は交換されてもよい。更なる一実施態様において、GOI及びSM3は、別個の発現コントロールエレメント(プロモーター)を有する独立した発現カセットから発現される。SM3はSM2とは異なり、かつ、SM2とは独立して細胞の選択を可能にする。このようにして、二重選択により両方の選択マーカーを発現する細胞の濃縮が可能になる。両方の選択マーカーは、限定されることなく、ヒグロマイシン、ネオマイシン、G418、ブラスチシジン、ピューロマイシン、ウワバインに対する耐性を付与する遺伝子又はグルタミン合成酵素遺伝子から選択されてよい。]
[0058] GOIの部分的なプロモーター配列5′の長さと不完全なSM2の長さは、ターゲットベクター上でそれぞれの相同性エレメント間で効率的な相同性組み換えが可能であるように選択される。]
[0059] さらに、交換ベクターは、第1の5′−相同性配列及び第2の3′−相同性配列を含有し、これはターゲットベクターの配列との組み換えを可能にする。それぞれの相同性配列の長さは有利には少なくとも約500ヌクレオチド、より有利には少なくとも700ヌクレオチドである。特別に有利な一実施態様において、この5′−相同性配列は少なくとも約1000ヌクレオチドの長さを有し、かつ、この3′−相同性配列は少なくとも約700ヌクレオチドの長さを有する。この相同性配列の最大の長さは有利には約2000ヌクレオチドである。このターゲット及び交換ベクター上の相同性配列間の同一性の程度は全配列に対して有利には少なくとも80%、より有利には少なくとも90%である。最も有利にはこの相同性配列は、最大の交換率を獲得するために実質的に同一である。さらに、発現ベクター中のこの5′−相同性配列が機能性プロモーターを含有しないことが有利である。交換ベクター中のこの3′−相同性配列は有利には機能性選択マーカー配列を含有しない。]
[0060] 付加的に交換ベクターは、第1の5′−及び第2の3′−相同性配列により定義される配列領域の外側に第4の選択マーカー遺伝子を含有してよい。この第4の選択マーカー遺伝子はネガティブ選択マーカー遺伝子、例えば自殺遺伝子、例えばHSV−チミジンキナーゼであり、これは、ネガティブ選択マーカー遺伝子をやはり組み込む宿主細胞ゲノム中への交換ベクターの任意のランダムな組み込みに対する選択を可能にする。]
[0061] 交換ベクターの2つの実施態様は図3(交換ベクターA)及び図4(交換ベクターB)に示されている。興味のある遺伝子(GOI)は、5′−削除した部分的なeCMVプロモーター(ΔCMV)に対して作動可能に連結されている。この第2の選択マーカー(SM2)は、SV40プロモーター(Psv40)に対して作動可能に連結されている。ターゲットベクターを有する相同性配列は点線により示される。交換ベクターB(図4)は付加的に、相同性配列の外側の自殺遺伝子(HSV−tk)及びIRESエレメントに対して作動可能に連結されたGOI遺伝子(SM3)と同時伝達される第3の選択マーカーを含有する。] 図3 図4
[0062] 代替的な一実施態様において、交換ベクターは、不活性な第2の選択マーカー遺伝子の代わりに発現コントロール配列に対して作動可能に連結された活性のある第2の選択マーカー遺伝子(SM2)を含有してよい。]
[0063] 4.3ワイルドカード細胞株の作成
4.3.1ランダム組み込み
ワイルドカード宿主細胞を作成するためには、セクション4.2.1.1で上述したターゲットベクターを、非相同性の、すなわち、ランダムな組み換えにより、宿主細胞のゲノム中にターゲットベクターのランダムな組み込みを可能にする条件下で宿主細胞中に導入してよい。]
[0064] 特定の一実施態様において、ターゲットベクターはトランスフェクション前に必要とされない細菌性エレメントが取り除かれている。これは、細菌性DNAエレメントにより媒介される遺伝子サイレンス化作用(silencing effect)を除去するものである。]
[0065] トランスフェクションのための条件は優先的に単一組み込み部位のみがタグ化されるように選択される。さらに、ターゲットベクターの単一コピーの組み込みが好まれる。]
[0066] 安定にトランスフェクションした宿主細胞の選択はSM1の使用により容易になり、これは典型的には抗生物質耐性遺伝子、例えばネオマイシン又はヒグロマイシン耐性遺伝子である。このようにして、選択手順は有利には、SM1が媒介する耐性に対する抗生物質の存在下でのトランスフェクションされた細胞の成長を含む。]
[0067] 次工程においては、組み込まれたターゲットベクターを有し、かつ、レポーター遺伝子(RG1)の高発現を示す宿主細胞が選択される。有利には、オリゴクローン細胞集団に対するクローンがこの目的のために限定された希釈戦略により作成される。有利には、この工程は懸濁物中での成長に適合させた宿主細胞を使用して血清不含培養条件下で実施される。]
[0068] この選択手順の有利な一実施態様において、トランスフェクションされた細胞は、優先的に1〜5細胞に由来する細胞集団中での選択後に生じる密度で播種される。クローン又はオリゴクローン細胞集団は増大し、ランダムにタグ化されたゲノム座の転写能力はレポーター遺伝子(RG1)により分析される。有利には、RG1発現の定量分析が実施される。]
[0069] RG1の発現されたレベルに基づいて高生産クローンが選択される。単一細胞由来の宿主細胞集団を可能性のあるワイルドカード細胞株として導くために、第2の限定された希釈クローニングが有利に実施される。更なる有利な一工程において、細胞はその成長特性に応じて選択され、特に有利な細胞は、低い二倍化時間に応じた迅速な成長を、特に血清不含培養条件下で示す。]
[0070] 有利な一実施態様において、選択手順は以下の工程を伴ってよい:
(i)組み込まれたターゲットベクターを有する宿主細胞から、高くかつ安定な発現のレポーター遺伝子(RG1)を有するものを選択する工程、
(ii)(i)で得られた細胞から、このフェノタイプが工業的な培養条件(すなわち、動的培養系、例えばスピナー、撹拌タンク、波反応器、流動層反応器又は固定層反応器)下での効率的な大規模培養を可能にするものを選択する工程、及び
(iii)(ii)で得られた細胞から、興味のある遺伝子のための発現カセットに対するレポーターカセットの効率的な交換を可能にするものを選択する工程。]
[0071] 十分な生産能力を有する適した「ワイルドカード」−細胞株の選択は、分泌されるレポーター、例えばヒトの胎盤から分泌されるアルカリホスファターゼ(hSEAP)又は適した他の定量化可能なレポータータンパク質の活性についてのスクリーニングにより実施されてよい。単一細胞由来の宿主細胞集団を可能性のあるワイルドカード細胞株として導くためには、第2の限定された希釈クローニングが有利には実施される。]
[0072] 更なる一実施態様において、高発現ワイルドカード宿主細胞の選択は蛍光タンパク質、例えば緑色蛍光タンパク質(GFP)又はその変形、すなわち、赤色蛍光タンパク質(RFP)、青色蛍光タンパク質(BFP)、シアン蛍光タンパク質(CFP)、黄色蛍光タンパク質(YFP)又はその他の変形を用いて実施されてもよい。発現されたレポーターにより、高発現を有する細胞は、蛍光活性化細胞ソーティング(FACS)又は適したラベル化後に磁性濃縮(magnetic enrichment)(MACS又は類似技術)によりトランスフェクションされた細胞のプールから濃縮されることができる。幾つかの引き続く濃縮サイクルにより、各レポーターについて高発現を有する集団が得ることができる。最終的なワイルドカード細胞は、有利にはこれら濃縮されたポリクローナル細胞集団の限定された希釈クローニングによっても作成される。]
[0073] レポーター遺伝子の更なる有利な例は、クロラムフェニコールトランスフェラーゼ、β−ガラクトシダーゼ、β−グルコニダーゼ、ルシフェラーゼその他である。]
[0074] 特に有利な一実施態様において、「アウトパフォーマー(outperformer)」ワイルドカード細胞株が選択され、これは生じる集団のクローンの平均的な発現レベルに比較して有利には少なくとも10倍、より有利には少なくとも20倍、更により有利には少なくとも25倍であるレポーター遺伝子発現レベルを有する。]
[0075] 更なる有利な一実施態様において、少なくとも1000、例えば少なくとも2000、又は少なくとも3000のプライマリークローン又はオリゴクローン細胞集団が、高発現するワイルドカード宿主細胞株、例えばアウトパフォーマーワイルドカード宿主細胞株を同定するために分析される。]
[0076] 有利なワイルドカード細胞株は、高度に転写活性のある部位においてターゲットベクターの単一コピーを組み込んで有する。適したワイルドカード細胞の選択のためには、組み込み部位の数及びターゲットベクターの組み込まれたコピー数が優先的に考慮される。組み込まれたターゲットベクターの数及び組み込み部位の数の分析は、PCR(優先的にはリアルタイム定量PCR)及びサザンブロット分析又はin situハイブリダイゼーションにより実施できる。]
[0077] 更なる一実施態様において、最終的なワイルドカード宿主細胞は、安定に組み込まれたターゲットベクターの他に、交換反応の間に使用される二重鎖切断(DSB)媒介酵素のための発現カセットを収容してよい。この発現カセットは、ターゲットベクターの一部であることができるか又は別個のベクターとして導入されることができる。この発現カセットは優先的には、DSB媒介酵素の時間制御された発現を達成するために誘導可能なプロモーターを含有する。]
[0078] 4.3.2非ランダム組み込み
異なる一実施態様において、DSB媒介酵素のための第1の及び第2の認識部位は宿主細胞ゲノムの予め定められた部位に対する標的化した相同性組み換えにより誘導されてよく、この部位は転写活性を支持することが知られており、例えば免疫グロブリン座である。この目的のためには、有利には、セクション4.2.1.2において説明された通りの非ランダム組み込みのためのターゲットベクターが使用される。選択手順はセクション4.3.1において説明されたように実施されてよい。]
[0079] しかしながら、選択手順はこの実施態様の幾つかの変形においては必要とされないことに留意すべきであり、というのは、認識部位は転写活性を支持することが知られている予め定められた部位で導入されるからである。]
[0080] 4.4ワイルドカード細胞内での発現カセットの交換
発現カセットの交換のためには、上述の通りの交換ベクターがワイルドカード宿主細胞、すなわち、宿主細胞ゲノム中のターゲットベクターのランダム又は非ランダム組み込みにより得られるワイルドカード宿主細胞中に、ターゲットベクター上に存在する第1の及び/又は第2の認識部位での二重鎖切断を可能にする条件下で導入される。これにより、二重鎖切断媒介相同性組み込みによる宿主細胞のゲノム中への交換ベクターの組み込みが達成される。]
[0081] この目的のために、ワイルドカード宿主細胞は有利には上述の通りの交換ベクター及び更なるメガヌクレアーゼ発現ベクターと同時トランスフェクションされ、これは特に、ターゲットベクター中に存在する認識部位と相容性であるホーミングエンドヌクレアーゼ(HE)、例えばI−Scelである。代替的に、この二重鎖切断媒介酵素は、所望される酵素をコードする適したmRNAとのトランスフェクション後に、又は、細胞に対するこの酵素の直接的配送により、宿主細胞中で発現されてよい。]
[0082] この酵素は認識部位をターゲットベクター内で切除するものである。切除部位の数に依存して、これは単にゲノム中に組み込まれたターゲットベクターを開くか(1の認識部位)、又は、ターゲットベクターから交換可能な発現カセットを放出する(発現カセットに隣接する2の認識部位)。両方の場合に、HEの活性は二重鎖切断(DSB)の発生をターゲットベクター内の定義された位置でのワイルドカード細胞のゲノム内で生じるものである。]
[0083] このDSBは相同性組み換え(HR)を、内因性HRについて観察されるのに比較して100〜1000より高い頻度でもって誘発するものである。この修復プロセス内では、トランスフェクションされた交換ベクターは修復マトリックスとして機能し、その相同性配列のために隣接する発現カセットを伸長する。]
[0084] 結果としてRG1及びSM1を有する完全な発現カセットがワイルドカード細胞のゲノムから除去され、かつ、GOI及び特定の実施態様において更にSM3(例えばGOIに対してIRESを介してカップリングされている)を含有する発現カセットにより置換される。]
[0085] SM3は、GOIの発現を分析する必要性なしにGOI及びSM3を有する発現カセットを転写する細胞の更なる選択を可能にする。]
[0086] HRの更なる重要な結果は、ターゲットベクター中でのプロモーターのないSM2の活性化である。交換ベクターと一緒でのHRのためにSM2は、プロモーターが補われ、このようにして成功した修復されたワイルドカード細胞内でのSM2の発現を容易にする。]
[0087] プロモーターは、発現ベクター中で短縮化された型のΔSMに対してのみ作動可能に連結しているので、細胞に対する耐性を提供しない。相同性組み換え後にSM2は活性化され、交換ベクターから発現カセットを導入することにより成功して修復された二重鎖切断を有する細胞の効率的な選択が可能になる。]
[0088] この単一(SM2を使用する)又は二重(SM2及びSM3を使用する)の選択のために、過剰なスクリーニングの必要性なしに、GOのための高発現レベルでもって同種の生産者細胞集団が作成できる。]
[0089] ワイルドカード細胞のゲノム改変はタグ化された座での発現カセットの交換に限定されているので、この細胞のフェノタイプは影響を受けない。]
[0090] 単一細胞由来の細胞集団が必要とされる場合すら、これは短期間で得ることができ、というのはこの選択後に得られる集団の限定された希釈は高い率の成功でもって容易になされるからである。]
[0091] このようにして、本発明は、所望される組み換え遺伝子産物、例えば組み換えタンパク質又は核酸を大量で得るための生産者宿主細胞を作成するための迅速かつ再現性のある方法を提供する。]
[0092] 相同性組み換えによるターゲットと交換ベクターとの間での交換反応の2つのスキームが図5及び6に示されている。] 図5
[0093] 異なる一実施態様において、交換ベクターはワイルドカード宿主細胞のゲノム中に導入されてよく、これは、第1の及び/又は第2のDSB媒介酵素認識部位のそのゲノムの予め定められた座での非ランダム組み込みにより、有利にはセクション4.2.1.2で説明した通りのターゲットベクターにより得られる。 この実施態様において、交換ベクターは有利には以下のものを有する:
(i)興味のある遺伝子(GOI)及び
(ii)第1の5′−相同性配列及び第2の3′−相同性配列、これにより第1の及び/又は第2の組み込み部位の組み込み部位での配列との組み換えが可能になる、
より有利にはセクション4.2.2において説明した通りの交換ベクターが使用される。]
[0094] さらに、本発明は以下の図面及び実施例によりより詳細に説明される。]
[0095] 図面
図1ターゲットベクター(ターゲットベクターA)の実施態様中の遺伝子エレメントの図式
このターゲットベクターは、CMV−プロモーター(P1)駆動されるレポーター遺伝子(RG1)及びPSV40(P2)により駆動される第1の選択マーカー(SM1)を宿主細胞のゲノム中のベクターの安定な組み込みの選択のために有する発現カセットを含有する。この交換カセットは、ホーミングエンドヌクレアーゼ(I−Scel)のための2つの認識部位により隣接されている。発現カセットの外側のこの第2の選択マーカー(SM2)はプロモーターなしであり、このようにしてターゲットベクター中で非機能性である。] 図1
[0096] 図2ターゲットベクター(ターゲットベクターB)の更なる実施態様中の遺伝子エレメントの図式
前記ターゲットベクターの改変されたこの型において、この3′−I−Scel部位は第1の選択マーカー(SM1)のポリ−Aシグナル(pA)の前に配置されている。I−Scelカットターゲットベクターの再ライゲーション(相同性組み換えの代わりに末端結合(endjoning))の場合には、pAエレメントがアイソレーターとして機能し、SM2の転写を妨げる。さらに、pA−エレメントにより終了されない転写産物の翻訳を終了するために、停止コドンがプロモーターのない選択マーカー2(SM2)の前に配置されている。] 図2
[0097] 図3交換ベクター(交換ベクターA)の実施態様中の遺伝子エレメントの図式
交換ベクターはGOIのためのCDSと、選択マーカーのための不完全CDSを含有する(ΔSM2)。GOIのためのCDSの後にだけ適当なポリアデニル化シグナルが引き続く。SM2のための不完全なCDSが機能性の構成性プロモーターP3(PSV40)により駆動される一方で、GOIはその5′−末端に、ターゲットコンストラクト中のCMVプロモーターの3′−部分と同一である部分プロモーターだけを含有する。] 図3
[0098] 図4交換ベクター(交換ベクターB)の更なる実施態様中の遺伝子エレメントの図式
この実施態様において、交換ベクターは図3aに示したベクターの他に、第3の選択マーカー(SM3)を含有し、この発現はIRESエレメントを介してGOIの発現にカップリングしている。これにより、選択マーカー2及び3を使用する二重選択により成功して交換した発現カセットを有する細胞の単離が可能になる。] 図3a 図4
[0099] そのゲノム中に完全な交換ベクターをランダムに組み込んで有する細胞を除去することができるように、この実施態様においてこの交換ベクターは自殺遺伝子としてHSV−TK遺伝子を含有する。]
[0100] 図5相同性組み換え(HR)によるターゲットと交換ベクターとの間の交換反応の図式
タグ化されたゲノム座にレポーター(RG1)及び選択カセット(SM1)を有するターゲットベクターは、ホーミングエンドヌクレアーゼ認識部位(I−Scel)により隣接されている。このプロモーターP1は、「エンハンサーPCMV−イントロン」エレメントとして示される。プロモーターP2は、SV40−プロモーター(PSV40)により示される。交換ベクターは、GOI及び非機能性選択マーカー(ΔSM2)を収容する。相同性組み換え(HR)によりホーミングエンドヌクレアーゼ媒介されたDSBの修復のために使用される相同領域が示される。この交換ベクター中のプロモーターP3は、SV40−プロモーター(PSV40)により示される。] 図5
[0101] この下方部分は、発現カセットの成功した交換後のタグ化されたゲノム座を示す。]
[0102] 図6第3の選択マーカー(SM3)を使用する改変された交換反応の図式
この交換反応は、図5に示される通り、タグ化したゲノム座でのターゲットベクターと交換ベクターとの間で実施される。この実施態様において、交換ベクターはGOIの他に、第3の選択マーカー(SM3)を含有し、この発現はIRESエレメントを介してGOIにカップリングしている。] 図5 図6
[0103] 図7プライマリー細胞クローンのパネル中のhSEAP活性の測定
個々のクローン又はオリゴクローンの細胞集団(x軸)を、ターゲットベクターの安定な組み込みのためにSM1の活性に基づいて選択する。細胞を増大させ、RG1(hSEAP)の活性に基づいてランダムにタグ化された組み込み座の転写活性についてスクリーニングした。レポーターhSEAPの活性は、y軸にng/mlで示される。A.39の個々の細胞集団中のhSEAP活性の分布。B.92の個々の細胞集団中のhSEAPの活性の分布。] 図7
[0104] 図8可能性のある普遍的な(universal)宿主細胞の第1のスクリーニング
図7に示される通りに、SM1を用いてターゲットベクターでのトランスフェクション後に細胞の選択により細胞集団を作成する。このデータは、「アウトパフォーマー」と呼ばれる所望される高生産者細胞集団の同定を実証する。同定は、RG1(hSEAP)の発現を基礎とする。レポーターhSEAPの活性はy軸にng/mlで示される。] 図7 図8
[0105] 図9アウトパフォーマー01A438の第2のスクリーニング
RG1(hSEAP)の高発現により特徴付けられるアウトパフォーマー細胞から、高発現性の、クローンの細胞集団を、血清不含条件下での単一細胞の限定された希釈(LD)クローニングにより作成する。グラフA及びBは、RG1(hSEAP)の活性により実証される通りの個々のクローン細胞集団の異なる発現能力を示す。レポーターhSEAPの活性はy軸にng/mlで示される。B中のアスタリスクは、更なる使用のためにワイルドカード細胞(07−022と名付ける)として選択される細胞クローンを示す。選択は、発現及び成長特性に基づいた。] 図9
[0106] 図10二重鎖切断媒介交換:メガヌクレアーゼプラスミド量の最適化
安定に組み込まれたターゲットベクターを有する予備形成されたワイルドカード細胞07−022中での発現カセットの交換。タグ化されたワイルドカード細胞からの発現カセットを、GOIをモデルとしてGFPを有するGFP−IRES−SM3カセットに対して交換し、この場合にターゲットベクターと交換ベクターとの間でのDSB媒介HRを利用した。交換を、交換ベクター(ecv2)及びメガヌクレアーゼ(Mnv)のための発現ベクターの同時トランスフェクションにより実施した。交換反応を最適化するために、交換ベクターの一定量を、異なる量のメガヌクレアーゼプラスミドで試験した。ターゲットと交換ベクターとの間での相同性組み換えによる発現カセットの成功した交換は、SM2(NeoR)を活性化するものである。11日間のG418を用いた2×106の選択後に、G−418耐性コロニーの全数と、また同様に、GFPポジティブコロニーの量とを決定した。このグラフは、異なるアプローチにおけるGFPポジティブ細胞のパーセンテージを示す。アプローチ5は、アプローチ3に比較して約6倍より多いGFP−発現クローン細胞を産出したことに留意されたい。] 図10
[0107] 図11二重鎖切断媒介交換:メガヌクレアーゼプラスミド量の最適化
図10について示したアプローチからの細胞は更に、SM2の他にSM3(ZeoR)の活性を使用して選択される。二重選択後に、二重耐性コロニーの全数と、また同様に、その内でGFP−ポジティブなコロニーの量とを、UV顕微鏡により決定した。アプローチ5は最も高いパーセンテージ(〜94%)を示し、かつ、261クローンでは最高の絶対数の二重耐性のかつ明るいGFP発現細胞である。] 図10 図11
[0108] 図12二重鎖切断媒介交換:メガヌクレアーゼプラスミド量の最適化
ターゲットベクターと交換ベクターとの間での二重鎖切断(DSB)誘発された相同性組み換えによるワイルドカード細胞中での発現カセットの交換により得られるクローン細胞の例。この画像は、図10及び11に示されるアプローチ5からのGFPポジティブコロニーのオーバーレイ(可視/UV光)を示す。スケールバーは100μmを示す。] 図10 図12
[0109] 図13ワイルドカード細胞クローン01C090に由来するGFPポジティブコロニー
異なるワイルドカード細胞集団(01C090)を使用する説明した方法による成功したカセット交換の例。この画像は、カセット交換及びSM2及びSM3に基づく二重選択後に得られるGFP発現細胞を示す。スケールバーは100μmを示す。] 図13
[0110] 図14交換反応及び二重選択後のGFPポジティブコロニー
確立されたワイルドカード細胞コロニー中の発現カセットのDSB媒介交換による成功したカセット交換の更なる例。ワイルドカード細胞クローン07−022(A)及びクローン08−018(B)からの交換及び二重選択後に得られる細胞が比較して示される。スケールバーは100μmを示す。]
[0111] 図15交換反応のPCRベースの確認
3つの異なるワイルドカードクローン(07−022、08−018、01C090)からのゲノムDNAを、PCRにより交換反応前(レーン1、4、6)及び交換反応後(レーン3、5、7)に分析した。07−022については、ランダムに組み込んだ交換ベクターを有するコントロールも分析した(レーン2)。(A.)368bpの産物は、交換前のhSEAP発現カセットの存在を確認する(レーン1、4、6)。交換後(レーン3、5、7)のこの欠失したバンドは、発現カセットの完全な除去を示す。(B.)293bpの産物は、交換反応後(レーン3、5、7)にGFP発現カセットの存在を確認するが、これはランダムな組み込み後でもある(レーン2)。(C.)971bpの産物は、SM2の終了後にだけ作成され、このため、HRによる発現カセットの交換を示唆する(レーン3、5、7)。適したプラスミドはポジティブコントロールとして機能した(レーン8)。(C)中のコントロールは使用したプラスミドDNAのための917bpのバンドを示すことに留意されたい。ネガティブコントロールは、テンプレートDNAの代わりに水(レーン9)又は親のコントロール細胞からのゲノム性DNAを含有し、如何なる改変も有しない(レーン10)。データは異なるアガロースゲルからのデータと適合した。] 図15
図面の簡単な説明

[0112] 図1は、ターゲットベクター(ターゲットベクターA)の実施態様中の遺伝子エレメントを示す図である。
図2は、ターゲットベクター(ターゲットベクターB)の更なる実施態様中の遺伝子エレメントを示す図である。
図3は、交換ベクター(交換ベクターA)の実施態様中の遺伝子エレメントを示す図である。
図4は、交換ベクター(交換ベクターB)の更なる実施態様中の遺伝子エレメントを示す図である。
図5は、相同性組み換え(HR)によるターゲットと交換ベクターとの間の交換反応を示す図である。
図6は、第3の選択マーカー(SM3)を使用する改変された交換反応を示す図である。
図7は、プライマリー細胞クローンのパネル中のhSEAP活性の測定を示す図である。
図8は、可能性のある普遍的な宿主細胞の第1のスクリーニングを示す図である。
図9は、アウトパフォーマー01A438の第2のスクリーニングを示す図である。
図10は、二重鎖切断媒介交換:メガヌクレアーゼプラスミド量の最適化を示す図である。
図11は、二重鎖切断媒介交換:メガヌクレアーゼプラスミド量の最適化を示す図である。
図12は、二重鎖切断媒介交換:メガヌクレアーゼプラスミド量の最適化を示す図である。
図13は、ワイルドカード細胞クローン01C090に由来するGFPポジティブコロニーを示す図である。
図14は、交換反応及び二重選択後のGFPポジティブコロニーを示す図である。
図15は、交換反応のPCRベースの確認を示す図である。] 図1 図10 図11 図12 図13 図15 図2 図3 図4 図5
[0113] 5.実施例
5.1ベクター系の作成
5.1.1ターゲットベクターの作成
ベクターpcDNA3.1(+)からの当初のCMVプロモーターを、Nhel及びNrulを用いた制限により除去した。イントロンAを有するこの伸長したCMVプロモーターを、ベクターpMGからPaclを用いてかつXbalでの平滑化後に除去した。この1.7kbの長さの断片を、Nrul及びNhel(Xbalと相容性)カットpcDNA3.1断片中にライゲーションした。これによりベクターCV001を作成した。]
[0114] この5′I−Scel部位を、アダプター戦略によりCV001中に導入した。I−Scel部位TAGGGATAACAGGGTAAT及びHindIIIオーバーハング末端を有する相補的オリゴヌクレオチドをハイブリダイズし、CV001−MN中に生じるCV001のHindIII中にクローニングして、CO001−MNを生じた。]
[0115] CV001−MN中でpcDNA3.1(+)の当初のネオマイシン耐性(NeoR)遺伝子をSM1としてのヒグロマイシン耐性(HygroR)遺伝子により置換した。この終わりに、ポリA部位を含むHygroR遺伝子をプラスミドから、HygroR−CDSが5′−末端からの最初の4nt(開始ATGを含む)を欠失し、その3′−末端にPcil制限部位を含むように増幅した。Pcilでの消化後に、このPCR産物を、BsaBI及びPcilで制限した非メチル化CV001−MN中にライゲーションした。BsaBI部位中へのクローニングによりこのHygroR−CDSは、ベクターからの5′−末端への欠失したATGAの添加により完成された。生じるベクターCV001−MN−Hygro中では、プロモーターのないNeoR遺伝子がSM2として導入された。この終わりに、完全なNeoR−CDSを適当なプラスミドDNAからPCRにより増幅した。この5′−プライマーを、I−Scelを導入するために使用し、さらにPcilによりNeoR−CDSのクローニングをさせる。この3′−プライマーは、BstZ171(TAC)部位を導入する。]
[0116] Pcil及びBstZ171での制限後に、PCR断片をゲル精製し、同じ制限酵素でもってこのベクターCV001−MN−Hygroカット中にライゲーションした。]
[0117] このターゲットベクターを完成させるために、この得られるベクターCV001−MN2−Hygro−Neoを、RG1としての分泌されたアルカリホスファターゼ(hSEAP)遺伝子で補った。ポリAシグナルを含むhSEAP−CDSを、Kpnl及びXbal消化により適したベクターから除去した。この断片を、ベクターCV001−MN2−Hygro−NeoのKpnl及びXbal部位中にクローニングした。この最終的なターゲットベクターをpCTV−SAP−Hyg−01と呼称した。]
[0118] 5.1.2交換ベクターの作成
ベクターCVO01に基づいて図4による交換ベクターを作成した。SM2の非機能性の短縮した型を作成するために、CV001からNeoR−CDSをBstZ171及びBlnl消化により除去した。このNeoR−CDSを、631bpのBlnl−Nael NeoR−断片で置換した。この短縮されたNeoR−遺伝子は、その機能のために決定的である酵素のC末端部分の24アミノ酸をコードする配列が欠失している。] 図4
[0119] 生じるCV001−ΔNeoRベクター中では、エンハンサー及びRNAポリメラーゼIIプロモーターを含有するこのCMVプロモーターの5′領域は、BsmBI及びMunlでの二重消化により除去された。これにより、CV001中でCMVイントロンAプロモーターエレメントからのイントロンA配列が主として残った。この後退した3′末端のクレノー酵素での充填後に、このベクターを平滑末端リレゲーション(relegation)により閉鎖した。]
[0120] この生じるベクターCV001−InA−ΔNeoRは、自由に選択可能なGOIの導入の準備ができており、かつ一般的な交換ベクターとして機能する。GOIのための一例として、緑色蛍光タンパク質(GFP)が選択された。この特定の場合においては、GFPの発現は、IRESエレメントを介して第3の選択マーカー(SM3)の発現にカップリングした。SM3として、ゼオシン(Zeocine)耐性遺伝子(ZeoR)を選択した。L−GFPのための配列、その後のIRESエレメント及びZeoRのためのCDSからなる発現カセットを、Agel−Sall断片としてベクターpMono−Zeo−GFP(Invitrogen)から除去した。このカセットは、EcoRVカットCV001−InA−ΔNeoR中への平滑末端ライゲーションにより配置されている。この最終的なベクターは、pCEV−GFPZeo−01と呼称された。]
[0121] 5.2普遍的ワイルドカード細胞株の作成
可能性のあるワイルドカード細胞株の作成のために、懸濁物中で血清不含条件下で成長に適合させ、かつ、高細胞密度(少なくとも2〜5×106細胞/ml)に成長できるCHO細胞株を使用した。この懸濁細胞をターゲットベクターpCTV−SAP−Hyg−01でトランスフェクトするために、ヌクレオフェクター(Nucleofector)技術を使用した。]
[0122] ヌクレオフェクション前にターゲットベクターpCTV−SAP−Hyg−01を2つの理由によりSsplで消化した:
・不所望な細菌エレメント(複製起点、アンピシリン耐性遺伝子)の除去、これはこれらエレメントにより媒介されるターゲットベクターのサイレンシングを妨げるためである。
・宿主細胞中のゲノム中のターゲットベクターの関連する機能性エレメントの完全な組み込みの可能性の増加。]
[0123] このSspl消化は、pUC ori及び主要なAmpR遺伝子を含有する1.698kbの断片を生じた。この残りの関連する7.41kbのターゲットベクターエレメントを、QIA quickゲル抽出キットを使用するアガロースゲル電気泳動により製造者の推奨に応じて精製した。]
[0124] このゲル精製したゲル精製したベクターを用いたヌクレオフェクションのために、懸濁物適合させたCHO細胞の高効率トランスフェクションを可能にする条件を確立させた。一般的に、トランスフェクションされた細胞の70〜90%の効率がルーチン的に達成できた。]
[0125] このヌクレオフェクトした細胞を24時間に亘り回収させ、次いでSM1としてのヒグロマイシンホスホトランスフェラーゼ(HygroR)の発現に基づく安定に組み込まれたターゲットベクターでの細胞のための選択に付した。ヒグロマイシンB(200μg/ml)での選択のためにヌクレオフェクトした細胞を96ウェルプレートに移し、モノー又はオリゴクローン細胞集団の単離を可能にする密度にした(限定された希釈)。これは、1〜60細胞/ウェル、最も有利には1〜30細胞/ウェルでの細胞密度により実施できた。]
[0126] これらのモノ−又はオリゴクローン細胞集団のそれぞれは、ターゲットベクターの異なるランダム組み込み部位を示す。これら組み込み部位の転写活性は、比色分析マイクロプレートアッセイを用いる上清中のhSEAP−レポーター遺伝子の活性により決定された。]
[0127] 約70〜80%のコンフルエントでこの選択された細胞を、更なる増大のために24ウェルプレートに移した。この上清をhSEAP活性のアッセイのために使用した。]
[0128] 内因性アルカリホスファターゼを65℃で30分間のインキュベーションにより不活性化した。hSEAPの活性をhSEAP反応緩衝液(2Mジエタノールアミン、1mM MgCl2、20mM L−ホモアルギニン、pH9.8)中で37℃で測定した。基質p−ニトロフェノールリン酸(120mM)の加水分解をOD405読み取りにより測定した。活性を、胎盤性アルカリホスファターゼを用いてスタンダードに対して定量化した。]
[0129] 大多数のクローンがhSEAPレポーターの極めて低い活性を示した。安定に組み込まれたターゲットベクターを有する単離されたクローンの一分画だけが、レポーターの高発現を示した。これらのプライマリーなクローン又はオリゴクローン細胞集団中での発現レベルの変動の典型的な分布は、実施例において図7A及びBにおいて要約されるそのhSEAP発現により示される。「アウトパフォーマー」と呼ばれる希有高発現クローンを同定するために、3000を超えるプライマリーなクローン/オリゴクローン細胞集団を分析した。] 図7A
[0130] 最高に発現するクローンが普遍的なワイルドカード細胞として使用されることを保証するために、第2の限定された希釈を最高のhSEAPレベルを示すクローンを用いて実施し、これは最大の発現レベルを有するサブクローンを同定するためである。この一例が、アウトパフォーマーとして第1の限定された希釈において同定されたクローン01A438について示されている(図8)。クローン01A438からの個々の細胞は第2の限定された希釈において播種され、これにより単一細胞由来の細胞集団の作成が可能になった。図9A及びBに示される通り、この生じるサブクローンは一般的には、第1のスクリーニングからの大多数の初期クローンに比較してより高いhSEAP発現を示した。にもかかわらず、この高発現クローンの群内でhSEAPについて最高の発現を有するものを同定することが可能であった。更なる分析のためのクローンの選択のこの段階では、レポーター遺伝子の発現レベルに加えて、クローンの成長能力(二倍化時間)も考慮される。この更なる尺度に基づいて、クローン07−022(図9においてアスタリスクでもってマークしてある)を選択した。] 図8 図9 図9A
[0131] 要約すると、hSEAPについて高発現レベルを有する宿主細胞株を得るために、数千の個々のクローンを血清不含の限定された希釈クローニングにより作成した。ゲノム中へのランダムな組み込みのために、約50%のこれらクローンだけがhSEAPの測定可能な発現を示した。このhSEAP発現クローンからは、このクローンの0.3%だけが、高発現クローンとして、すなわち、「アウトパフォーマー」として同定された(全クローンの平均に対して>25倍の発現)。]
[0132] 5.3レポーター遺伝子の交換
RG1及びSM1のGOIに対する交換のために、サブクローン07−022のワイルドカード細胞を、図4による交換ベクターpEV−GFP−Zeo−01及び希有切断ホーミングエンドヌクレアーゼI−Scelのための発現プラスミドと同時トランスフェクションさせた。緑色蛍光タンパク質(GFP)をコードする配列をGOIとして使用した。] 図4
[0133] GFPコード領域前のスプライス可能なイントロンAの領域は、効率的な相同性組み換えを可能にするために十分長かったが(1077bp)、しかし減弱されたプロモーター活性を含む。]
[0134] 交換ベクター中のSM1は、ネオマイシン耐性遺伝子(NeoR)のC末端短縮化した型である。このNeoRコード領域中の163bpの欠失のために、この生じる短縮化したネオマイシンホスホトランスフェラーゼはG418に対する耐性を付与しない。このNeoR遺伝子の5′領域(719bp)は、ターゲットベクター中の完全なNeoRとの相同性組み換えを可能にするのに十分である。この戦略は、交換ベクターのランダムな組み込みのために生じるNeoR細胞なしにターゲットベクター中のこのプロモーターのないNeoR遺伝子の活性化を可能にする。]
[0135] この系は、これらの細胞の選択を可能にするものであり、これは、交換ベクターを修復マトリックスとして使用する相同性組み換えによるホーミング酵素誘発されたDSBsを修復している。]
[0136] 付加的な選択マーカーとしてSM3(ゼオシン耐性遺伝子)が、GFPとZeo耐性遺伝子との間でIRESエレメントによりGFP発現カセットから発現されている。]
[0137] SM3は、交換ベクターのランダムな組み込みの頻度を決定し、かつ、他の修復事象が発現カセットの組み込み無しにネオマイシン耐性細胞が交換ベクターを、このターゲットベクター中の交換領域の欠失だけによって生じることができるかどうかをチェックするために使用されている。]
[0138] この終わりに、この二重トランスフェクションされた細胞を最初にG418で選択し、この生じたクローンの数を記録し、このクローンをUV顕微鏡によりGFP発現について分析した。]
[0139] 図10に示される通り、G418を用いた11日間の選択後に、NeoR細胞の異種集団を獲得し、このうち45〜62%は明るいGFP発現を示し、その一方で残りのNeoR細胞はGFPネガティブであった。] 図10
[0140] これら細胞は、単純な末端結合又は片側相同性組み換えによるDSBの修復を示すことができた。後者の場合には、NeoR遺伝子に隣接するDSBのみがHRにより修復され、その一方で、CMVプロモーターに隣接するDSBが非相同性末端結合により修復される。]
[0141] ゼオシンを使用する付加的な選択により、GFPポジティブ細胞の分画は、一定量の交換プラスミドで同時トランスフェクションさせたI−Scel発現プラスミドMnvの量に依存して94%まで増加した(図11)。メガヌクレアーゼのための発現ベクター及び交換ベクターとの間での最適化された比を使用する場合には(図11中のアプローチ5)、全部で291のGFPを発現するコロニーが検出可能であった。トランスフェクション後に配置され、かつ、G418及びゼオシンで選択された2×106個の細胞に基づいて、これは、〜1×10-4の頻度を示す。これは、1〜2.5×10-6の範囲内にある二重鎖切断誘発相同性組み換えについて刊行された頻度に比較して意外に良好な結果である。] 図11
[0142] 要約すると、2つの選択マーカーの使用により、明るいGFP蛍光を示す同種の細胞集団の選択が可能になった(図12)。] 図12
[0143] クローン07−022に加えて、更なるワイルドカードクローンを使用して、GFP−IRES−ZeoRからなる発現カセットに対するRG1及びSM1の交換性を実証した(図13及び14)。] 図13
[0144] 一般的に、低いhSEAP発現性ワイルドカードクローンを使用する交換は、G418及びゼオシンでの二重選択後に非蛍光性又は弱蛍光性の細胞しか生じなかった。]
[0145] 対照的に、高hSEAP発現性ワイルドカードクローンは、説明したメガヌクレアーゼ媒介交換機構により発現カセットの効率的な交換及び二重耐性の明るいGFP発現細胞の作成を生じ、これは図13においてクローン01−C090について示される通りである。] 図13
[0146] クローン07−022との比較が、図14においてワイルドカードクローン08−018について示されている。また、クローン08−018を用いても、発現カセットのメガヌクレアーゼ媒介交換後に、GFP発現細胞の同種の集団を得ることが可能であった。GFP発現の強度は、クローン07−022に由来する細胞中で見ることができるものと比較可能であった。]
[0147] メガヌクレアーゼをベースとする交換反応後のワイルドカード細胞に由来する細胞は、血清不含条件下で懸濁培地中で増大でき、かつ、製造目的のために使用できる。]
[0148] 単一細胞由来の生産細胞株を保証するために、この交換した細胞は減少した労力でもって限定された希釈アプローチで迅速に作成できた。]
[0149] 5.4分子的特性決定
交換反応の間の分子的事象をモニターするために、3つの異なるプライマー組み合わせ(PCR1〜3、表1を参照のこと)を使用するPCRベースのアプローチを使用した。]
[0150] 表1分子的特性決定のためのプライマー組み合わせ]
[0151] PCR1では、ワイルドカード宿主細胞のゲノム内で安定に組み込まれたターゲットベクターが検出可能である。PCR2を、交換反応の実施後の細胞中での交換ベクターからの交換カセットの存在を確認するために使用する。交換ベクターはランダムに組み込み可能でもあるので、PCR3を、このターゲットコンストラクト内の3′末端の交換領域での相同性組み換えを確認するために使用する。このPCRのための5′−プライマーはSV40プロモーターに結合し、これは交換コンストラクト内に存在し、その一方でこの3′−プライマーはNeoR−遺伝子の3′部分に結合し、これはターゲットコンストラクト中にだけ存在し交換コンストラクト中に存在しない。相同性組み換えによるプロモーターのないSM2(NeoR−遺伝子)の活性化後に初めてこのPCR3は、971bpのPCR産物を作成できる。]
[0152] 異なるPCR分析からのこの結果の組み合わせにより、このターゲットコンストラクトからの発現カセットの除去及びこの交換ベクターからの発現カセットの導入が実証されることができる。]
[0153] このような分析のための結果は図15に、交換反応が成功して実施される3つの異なる普遍的なワイルドカード細胞株について要約されている。(A.)部においては、ターゲットコンストラクトの存在が、CMVプロモーターエレメントのイントロン及びhSEAPCDSの5′領域中のプライマー結合により確認された。パネル(B.)は、(A.)に示される同じイントロンプライマーと、GFPのためのCDSの5′領域中に結合するプライマーとの組み合わせにより、交換ベクターBの安定に組み込まれた発現カセットの確認を示す。相応するPCR産物の成功した増幅は、HR又はランダム組み込みのいずれかによる発現カセットの導入を示す。パネル(C.)は、交換ベクターとのHRの結果としてのターゲットベクター中の活性化したNeoR遺伝子の存在のPCR確認を示す。このPCRのためのプライマーは、交換ベクター内にだけ存在するSV40プロモーター(5′−プライマー)に、及び、ターゲットベクター内にだけ存在するNeoR−CDSの3′部分(3′−プライマー)に結合するので、成功した増幅は、交換ベクターとターゲットベクターとの間での3′−I−Scel媒介DSBでのHRを示す。] 図15
[0154] パネル(A.)及び(B.)中でのポジティブコントロール(レーン8)として、ターゲットベクター及び交換ベクター2をそれぞれ使用した。パネル(C.)中のポジティブコントロールは、同一のプライマー結合配列を有するが、相互にわずかに異なる距離を有するベクター(CV001)からなる。したがって、このポジティブコントロールは、ゲノムDNAから予期されるのとは僅かにより小さいPCR産物(971bpの代わりに917bp)を生じる。ネガティブコントロールとしてテンプレートDNAが水により(レーン9)、又は、CHOゲノムDNAの不特異的増幅をチェックするために、親のCHO細胞株からの同量のDNAにより、ターゲットコンストラクトのヌクレオフェクション無しで置換されている(レーン10)。]
[0155] クローン07−022は最も強く特性決定され、かつ、出発細胞の他に成功した交換細胞のその誘導体、また、交換ベクターBのランダムな組み込みのためのコントロールも分析した。このコントロールのために使用した細胞クローンは交換ベクターBだけのヌクレオフェクション後にゼオシンに対する耐性及び極めて弱いGFP蛍光を示した。]
[0156] クローン08−018及び01C090のために、二重選択に耐えかつ明るいGFP蛍光を示す出発細胞及び成功した交換細胞を分析した。]
[0157] 全てのクローンについて、出発細胞集団中でhSEAP−CDSの存在が明らかに実証できた(パネルA)。クローン07−022について、CDSの存在が、ランダムな組み込みにより作成した細胞クローンについて確認されることもできた。メガヌクレアーゼ媒介交換反応後に、このhSEAP−CDSはもはやその全ての、NeoR/ZeoR及び明るいGFP蛍光を示す試験した交換したクローン中で増幅可能でなかった。これは、全ての分析された例における組み込まれたターゲットベクターからの初期の発現カセットの除去を示す。]
[0158] この知見と一致して、交換ベクターBからの発現カセットの存在もまた、交換反応実施後に初めてGFP−CDSについてPCRにより実証されることができた(パネルBレーン3、5、7)。この試験したクローンのための出発細胞は、このPCRアッセイにおいてネガティブであった(パネルB、レーン1、4、6)。このPCRアッセイは、HRによるGFP−発現カセットの導入に特異的でない。クローン07−022からの交換ベクターBのランダムな組み込みについての例は、ここでもこのGFP−CDS特異的プライマーを用いてポジティブなシグナルが得ることができることを示した。]
[0159] 交換反応実施後に得られるこの異なる細胞集団中でのこのGFP発現の明るい強度は、GFP−CDSの導入が、レーン3、5及び7において使用された細胞内でタグ化された発現ホットスポット内で生じたことを示す。]
[0160] 観察されたフェノタイプがターゲットベクター中での発現カセットの除去及び同じ位置での交換ベクターからの発現カセットの導入に基づくことを最終的に確認するために、付加的なPCRアッセイを実施した(パネルC)。このPCRは、ターゲットベクター中での3′I−Scel媒介DSBが修復マトリックスとして交換ベクター2を使用するHRにより修復されている場合には、予期される971bpのPCR産物しか生じない。予期された通り、二重耐性の、明るいGFP細胞中でだけ予期されたPCR産物が検出でき(パネルC、レーン3、5、7)、交換ベクターのランダムな組み込みから生じる細胞中では検出できない(パネルC、レーン2)。]
权利要求:

請求項1
以下の工程:(a)以下のものを含むターゲットベクターを提供する工程、(i)第1の発現コントロール配列(P1)に作動可能に連結されたレポーター遺伝子(RG1)、(ii)第2の発現コントロール配列(P2)に作動可能に連結された第1の選択マーカー遺伝子(SM1)、(iii)発現コントロール配列に対する作動可能な連結なしの第2の非機能性選択マーカー遺伝子(SM2)、その際、配列(i)は5′位に存在し、配列(ii)は(i)と(iii)との間に存在し、配列(iii)は3′位に存在する、(iv)二重鎖切断媒介酵素のための第1の及び第2の認識部位、その際第1の認識部位は第1の発現コントロ−ル配列(P1)と第1のレポーター遺伝子(RG1)との間に存在し、第2の認識部位は配列(ii)と配列(iii)との間に存在する、(b)ターゲットベクターを宿主細胞中に、宿主細胞のゲノム中へのターゲットベクターのランダムな組み込みを可能にする条件下で導入する工程、(c)安定に組み込まれたターゲットベクターを有し、かつ、レポーター遺伝子(RG1)の転写活性を示す宿主細胞を選択する工程、(d)以下のものを含有する交換ベクターを提供する工程、(i)興味のある遺伝子(GOI)及び(ii)第3の発現コントロ−ル配列(P3)に作動可能に連結された不活性な第2の選択マーカー遺伝子(ΔSM2)、その際、交換ベクターは、第1の5′−相同性配列と第2の3′−相同性配列とを含有し、これはターゲットベクターの配列との組み換えを可能にする、(e)(a)(iv)で定義された第1の及び/又は第2の認識部位での二重鎖切断及び二重鎖切断媒介相同性組み換えによる宿主細胞のゲノム中への交換ベクターの組み込みを可能にする条件下で、工程(c)で得られた宿主細胞中に交換ベクターを導入する工程、これにより、この不活性な第2の選択マーカー遺伝子(ΔSM2)は、ターゲットベクターとの相同性組み換えによる交換ベクターの組み込みにより活性化される、(f)組み込まれたターゲットベクターとの相同性組み換えによる組み込まれた交換ベクターを有する生産者細胞を選択する工程、その際、この生産者細胞はGOIを発現する、を含む組み換え遺伝子産物の製造のための生産者宿主細胞の作成方法。
請求項2
宿主細胞が、真核細胞、特に哺乳類細胞、例えばCHO細胞である請求項1記載の方法。
請求項3
レポーター遺伝子(RG1)が、酵素又はルミネッセンスの又は蛍光の遺伝子産物をコードする請求項1又は2記載の方法。
請求項4
第1の発現コントロール配列(P1)が、構成性プロモーター、例えばCMVプロモーターを含有し、場合によりこれはCMVイントロンAで補われている請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
請求項5
第2の発現コントロール配列(P2)が、構成性プロモーター、例えばSV40プロモーター、又はIRESエレメントを含有する請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
請求項6
不活性な第2の選択マーカー遺伝子(SM2)が、ATG開始コドン無し及び/又は上流の停止コドン有りである請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
請求項7
二重鎖切断誘発酵素がメガヌクレアーゼ又はホーミングヌクレアーゼであり、これは少なくとも10、有利には少なくとも12、より有利には18ヌクレオチドの認識部位を有し、かつ、例えばI−Scel、I−Scell、I−Scelll、I−ScelV、I−Ceul、I−Crel、I−Ppol、I−Tevl、I−Tevll、I−Tevlll、HO及びEndoScelから選択される請求項1から6までいずれか1項記載の方法。
請求項8
第2の認識部位が、転写アイソレーター、例えばポリA部位の前に存在する請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
請求項9
第1の及び第2の認識部位が、相互に対して反対の配向にある請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
請求項10
宿主細胞の染色体の単一部位中に特に単一コピーとして組み込まれたターゲットベクターを有する細胞が選択される請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
請求項11
選択工程(c)が、第1の選択マーカー遺伝子(SM1)活性の検出を基礎とする請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
請求項12
レポーター遺伝子(RG1)の高い転写活性を有する宿主細胞が選択される請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
請求項13
交換ベクターが、機能性発現コントロール配列なしの興味のある遺伝子(GOI)を含有し、これが特に、ターゲットベクター中の第1の発現コントロール配列(P1)の3′−部と実質的に同一である部分発現コントロール配列を有する請求項1から12までのいずれか1項記載の方法。
請求項14
交換ベクターが、第3の発現コントロール配列(P3)に作動可能に連結された不完全な第2の選択マーカー遺伝子(ΔSM2)を含有し、特にこれが構成性プロモーター、例えばSV40プロモーターを含有する請求項1から13までのいずれか1項記載の方法。
請求項15
交換ベクターがさらに、(iii)第3の選択マーカー遺伝子(SM3)を含有し、これがGOIと同時転写される請求項1から14までのいずれか1項記載の方法。
請求項16
第1の5′−相同性配列が少なくとも約1000ヌクレオチドの長さを有し、かつ/又は、第2の3′−相同性配列が少なくとも約700ヌクレオチドの長さを有する請求項1から15までのいずれか1項記載の方法。
請求項17
交換ベクター中の第1の5′−相同性配列が機能性発現コントロール配列を含有しない請求項1から16までのいずれか1項記載の方法。
請求項18
交換ベクター中の第2の3′−相同性配列が機能性選択マーカー遺伝子配列を含有しない請求項1から17までのいずれか1項記載の方法。
請求項19
交換ベクターがさらに、(iv)ネガティブ選択マーカー遺伝子、特に自殺遺伝子、例えばHSVチミジンキナーゼ遺伝子を含有し、これが第1の5′−及び第2の3′−相同性配列により定義される配列の外側に存在する請求項1から18までのいずれか1項記載の方法。
請求項20
更に以下の工程(i)二重鎖切断媒介酵素をコードする核酸配列又は二重鎖切断媒介酵素をコードするmRNAを含有するベクターを、工程(e)前又は間に宿主細胞中に導入し、工程(e)の性能を発揮させるためにこの酵素を発現させる工程、又は(ii)二重鎖切断媒介酵素を工程(e)前又は間に宿主細胞中に導入し、工程(e)の性能を発揮させるためにこの酵素を提供する工程を含む請求項1から19までのいずれか1項記載の方法。
請求項21
選択工程(f)が、第2の選択マーカー遺伝子(SM1)活性の検出を基礎とする請求項15から20までのいずれか1項記載の方法。
請求項22
選択工程(f)が、第2の選択マーカー遺伝子(SM2)及び第3の選択マーカー遺伝子(SM3)活性の検出を基礎とする請求項1から21までのいずれか1項記載の方法。
請求項23
さらに興味のある遺伝子(GOI)を発現させ、かつ、この発現した遺伝子産物を獲得することを含む請求項1から22までのいずれか1項記載の方法。
請求項24
以下の工程:(a)以下のものを含むターゲットベクターを提供する工程、(i)第1の発現コントロール配列(P1)に作動可能に連結されたレポーター遺伝子(RG1)、(ii)第2の発現コントロール配列(P2)に作動可能に連結された第1の選択マーカー遺伝子(SM1)、(iii)発現コントロール配列に対する作動可能な連結なしの第2の非機能性選択マーカー遺伝子(SM2)、その際、配列(i)は5′位に存在し、配列(ii)は(i)と(iii)との間に存在し、配列(iii)は3′位に存在する、(iv)二重鎖切断媒介酵素、特にメガヌクレアーゼのための第1の及び第2の認識部位、その際第1の認識部位は第1の発現コントロ−ル配列(P1)と第1のレポーター遺伝子(RG1)との間に存在し、第2の認識部位は配列(ii)と配列(iii)との間に存在する、(b)ターゲットベクターを宿主細胞中に、宿主細胞のゲノム中へのターゲットベクターのランダムな組み込みを可能にする条件下で導入する工程、及び(c)安定に組み込まれたターゲットベクターを有し、かつ、レポーター遺伝子(RG1)の転写活性を示す宿主細胞を選択する工程を含む興味のある遺伝子(GOI)の導入のためのワイルドカード宿主細胞の作成方法。
請求項25
以下の工程:(a)以下のものを含む発現カセットをそのゲノム中に組み込んで有するワイルドカード宿主細胞を提供する工程、(i)第1の発現コントロール配列(P1)に作動可能に連結されたレポーター遺伝子(RG1)、(ii)第2の発現コントロール配列(P2)に作動可能に連結された第1の選択マーカー遺伝子(SM1)、(iii)発現コントロール配列に対する作動可能な連結なしの第2の非機能性選択マーカー遺伝子(SM2)、その際、配列(i)は5′位に存在し、配列(ii)は(i)と(iii)との間に存在し、配列(iii)は3′位に存在する、(iv)二重鎖切断媒介酵素のための第1の及び第2の認識部位、その際第1の認識部位は第1の発現コントロ−ル配列(P1)と第1のレポーター遺伝子(RG1)との間に存在し、第2の認識部位は配列(ii)と配列(iii)との間に存在する、その際この発現カセットは宿主細胞ゲノム中に安定に組み込まれており、かつ、レポーター遺伝子(RG1)の転写活性を示す、(b)以下のものを含有する交換ベクターを提供する工程、(i)興味のある遺伝子(GOI)及び(ii)第3の発現コントロ−ル配列(P3)に作動可能に連結された不活性な第2の選択マーカー遺伝子(ΔSM2)、その際、この交換ベクターは、第1の5′−相同性配列と第2の3′−相同性配列とを含有し、これはターゲットベクターの配列との組み換えを可能にする、(c)(a)(iv)で定義された第1の及び/又は第2の認識部位での二重鎖切断及び二重鎖切断媒介相同性組み換えによる宿主細胞のゲノム中への交換ベクターの組み込みを可能にする条件下で、工程(a)で提供された宿主細胞中に交換ベクターを導入する工程、これにより、この不活性な第2の選択マーカー遺伝子(ΔSM2)は、交換ベクターの組み込みにより活性化される、(d)組み込まれたターゲットベクターとの相同性組み換えによる組み込まれた交換ベクターを有する生産者細胞を選択する工程、その際、この生産者細胞はGOIを発現する、を含む組み換え遺伝子産物の製造方法。
請求項26
以下の工程:(a)転写活性を支持する宿主細胞のゲノムの部位中に標的化した相同性組み換えにより二重鎖切断媒介酵素のための第1の及び第2の認識部位を含有する核酸配列を導入する工程、(b)安定に組み込まれた第1の及び第2の認識部位を有するワイルドカード宿主細胞を選択する工程、(c)以下のものを含有する交換ベクターを提供する工程、(i)興味のある遺伝子(GOI)及び(ii)第1の5′−相同性配列及び第2の3′−相同性配列、これにより第1の及び/又は第2の組み込み部位の組み込み部位での配列との組み換えが可能になる、(d)(a)で定義された第1の及び/又は第2の認識部位での二重鎖切断及び二重鎖切断媒介相同性組み換えによる宿主細胞のゲノム中への交換ベクターの組み込みを可能にする条件下で、工程(b)で得られた宿主細胞中に交換ベクターを導入する工程、及び(e)相同性組み換えによる組み込まれた交換ベクターを有する生産者細胞を選択する工程、その際、この生産者細胞はGOIを発現する、を含む組み換え遺伝子産物の製造のための生産者宿主細胞の作成方法。
請求項27
以下の工程:(a)転写活性を支持する宿主細胞のゲノムの部位中に標的化した相同性組み換えにより二重鎖切断媒介酵素のための第1の及び第2の認識部位を含有する核酸配列を導入する工程、及び(b)安定に組み込まれた第1の及び第2の認識部位を有するワイルドカード宿主細胞を選択する工程を含む興味のある遺伝子(GOI)の導入のためのワイルドカード宿主細胞の製造方法。
請求項28
(a)二重鎖切断媒介酵素のための第1の及び第2の認識部位を含有する核酸配列をそのゲノム中に組み込んで有するワイルドカード宿主細胞を提供し、その際この核酸配列は転写活性を支持する部位で宿主細胞ゲノム中に安定に組み込まれている、(b)以下のものを含有する交換ベクターを提供し、(i)興味のある遺伝子(GOI)及び(ii)第1の5′−相同性配列及び第2の3′−相同性配列、これにより第1の及び/又は第2の認識部位の組み込み部位での配列との組み換えが可能になる、(c)(a)で定義された第1の及び/又は第2の認識部位での二重鎖切断及び二重鎖切断媒介相同性組み換えによる宿主細胞のゲノム中への交換ベクターの組み込みを可能にする条件下で、工程(a)で提供された宿主細胞中に交換ベクターを導入し、かつ(d)相同性組み換えによる組み込まれた交換ベクターを有する生産者細胞を選択し、その際、この生産者細胞はGOIを発現する、組み換え遺伝子産物の製造のための方法。
請求項29
(a)第1の発現コントロール配列(P1)に作動可能に連結されたレポーター遺伝子(RG1)、(b)第2の発現コントロール配列(P2)に作動可能に連結された第1の選択マーカー遺伝子(SM1)、(c)発現コントロール配列に対する作動可能な連結なしの非機能性の第2の選択マーカー遺伝子(SM2)、その際、配列(i)は5′位に存在し、配列(ii)は(i)と(iii)との間に存在し、配列(iii)は3′位に存在する、(d)二重鎖切断媒介酵素、特にメガヌクレアーゼのための第1の及び第2の認識部位、その際第1の認識部位は第1の発現コントロ−ル配列(P1)と第1のレポーター遺伝子(RG1)との間に存在し、第2の認識部位は配列(ii)と配列(iii)との間に存在する、を含有するターゲットベクター。
請求項30
(i)興味のある遺伝子(GOI)及び(ii)第3の発現コントロ−ル配列(P3)に作動可能に連結された不活性な第2の選択マーカー遺伝子(ΔSM2)、その際、交換ベクターは、第1の5′−相同性配列と第2の3′−相同性配列とを含有し、これは宿主細胞のゲノム中の予め定められた部位の配列との組み換えを可能にする、宿主細胞中に興味のある遺伝子(GOI)を導入するための交換ベクター。
請求項31
相同性配列が、請求項29に定義されるターゲットベクターの配列との組み換えを可能にする請求項30記載の交換ベクター。
請求項32
請求項1から23又は26のいずれか1項記載の方法により得られる組み換え遺伝子産物の製造のための生産者細胞。
請求項33
請求項24又は27記載の方法により得られる興味のある遺伝子(GOI)の導入のためのワイルドカード宿主細胞。
請求項34
さらに、二重鎖切断媒介酵素をコードする核酸配列を含有し、これは有利には誘導性発現コントロール配列に作動可能に連結されている請求項33記載のワイルドカード宿主細胞。
請求項35
請求項30又は31記載の交換ベクターと組み合わせた請求項33又は34記載のワイルドカード宿主細胞。
請求項36
生産者細胞株の作成のための請求項33、34又は35記載のワイルドカード宿主細胞の使用。
請求項37
組み換え遺伝子産物の製造のための請求項32記載の生産者細胞又は請求項36記載の使用により得られる生産者細胞の使用。
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